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第1期ディープ・パープルの音楽性について

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ほんと〜に長い永い紆余曲折を経て正式メンバーが決定したディープ・パープルですが、今回は結成当時のディープ・パープルの音楽性(以外音楽性を表す場面は第1期ディープ・パープル表記)についてです。

その前にレコード会社

まず音楽性云々の前にレコード会社との契約です。

メンバー選定に難航したディープ・パープルですが、同じ様にレコード会社契約も難航しました。

ディープ・パープルは元々はサーチャーズ出身のクリス・カーティスがラウンドアバウトとして立ち上げたバンドです。

もしディープ・パープルにクリス・カーティスが在籍したままであれば、彼のネームバリューを考えればレコード会社との契約もすんなりできたのかも知れません。

クリス・カーティスがいたからこそバンド結成以前にマネージャーが2人も付いていたのですからね。

しかしクリス・カーティスが脱退していたディープ・パープルでは実力者揃いのバンドメンバーと言えど、一般大衆にとってはテレビに顔を出す様なネームバリューのあるメンバーはいませんでした。

なので一説にはバンド運営に関し自分のプレイ以外は何もしないと言われていたジョン・ロードに代わり、リッチー・ブラックモアの人脈から第1期ディープ・パープルのプロデューサーを務めることになったデレク・ローレンスを介し、アメリカのレコード会社であるテトラグラマトン・レコードと契約を結びました。

レコード会社

アートロックという方向性

第1期ディープ・パープルの音楽性はジョン・ロードが主導権を握っていました。リッチー・ブラックモアが後年発揮する様な個性を出してない時代です。

ハードロックバンドとしての第2期以降のディープ・パープルしか知らない人が第1期ディープ・パープルを聴くと音楽性の違いに驚くと思います。

ボーカリストがロッド・エヴァンスの時点で既にハードロックではありません(まぁ、彼は1980年にトンデモない事件を起こしますがね…)

バンドの主導権を握っていたジョン・ロードはサイケデリックロックもしくはプログレッシヴロックのバンドが好きであり、オルガンが入っているヴァニラ・ファッジの様なバンドをパープルの指針としていました。

なので第1期ディープ・パープルの音楽性はジャンル分けをするのであれば、アートロックと呼ばれるジャンルに属していました。

アートロックとは?

この時代の音楽性(=ジャンル)の変化の根底にあるのが宣伝媒体だったりします。当時の音楽宣伝媒体といえばラジオがメインであり、テレビ出演でも尺の関係上で2〜3分程度で終わる楽曲がメインとなっていました。

ビーテレ

コレはシングルヒットを狙うための話しなのですが、シングルヒットのラジオ重視ではなく、アルバム重視で楽曲を制作する人達が増えて来ました。

シングルヒットがなくても良いから、アルバムを充実させたいと言う考え方です。厳密にはアルバム重視でもシングルヒットがあるに越したことはないのですがね。

アートロックもアルバム重視のジャンルとなります。より複雑な楽曲構成と前衛音楽に趣を置いた曲構成、高い演奏技術と即興性と言った感じがアートロックと呼ばれました。

プログレ、サイケ、アートetc. 何が違うの?

プログレッシブロックは変拍子や複雑な楽曲構成を持つロック、サイケデリックロックは ヒッピーが聞いてる怪しい音楽 サイケデリアを音楽に投影した物です。

この辺のジャンル分けは音楽聞かない人にハードロックとヘビーメタルって何が違うの? と聞かれてる様な物です。ハードロックの雄であるレッド・ツェッペリンすらヘビーメタルと言う人もいますからね。

こんな感じで第1期ディープ・パープルのジャンル分けも結構アバウトだったのかな? とは思っています。

ただジョン・ロード的にはプログレッシブロックやサイケデリックロックと言われるのは嫌だったのでは? と勝手に思っております。

サイケデリック?

何故アートロックだったのか

これは逆算の考え方なのですが、第1期ディープ・パープルにキーボードが入ってる時点でハードロックの選択肢がなくなります。

ハモンドオルガン

えっ、キーボードが入ってるハードロックバンドなんて腐るほどあるじゃん? と思うかもしれません。事実、第2期以降のディープ・パープルは紛れもないハードロックバンドです。

しかし、時代は1960年代です。まずハードロックと言うジャンルがありませんでした。1960年代後半に入ると、あくまで“ハードな”ロックバンドとしてクリームやドアーズが出て来ます。

ES-335

人によってはギターの種類と音楽ジャンルの捉え方は関係ないと考える人もいるのでしょうが、第1期ディープ・パープル時代のリッチー・ブラックモアのメインギターはギブソンのES-335でした。

リッチー・ブラックモア=フェンダー・ストラトキャスターと思いがちですが、第1期ディープ・パープルではES-335がメインギターだったのです。

ギブソンのES-335とは世界初のセミアコースティックギターです。セミアコースティックギターとは若干乱暴な表現ですが、生鳴りの少ないアコースティックギターにエレキ用のピックアップを搭載した感じです。

因みにギブソン レスポールスタンダードは現在ソリッドギターではなかったりする

なのでエフェクターを掛ければ歪ませることもできますが、基本的に独特のボディ構造から成る甘いミドルトーンを響かせるギターです。このことからハードロックバンドでES-335、延いてはセミアコースティックギターを使っているバンドが殆どないのです(ただし全くない訳ではない)

甘いミドルトーンを聴かせることが魅力のES-335はジャズやブルース、発展させればロックン・ロールに合うギタートーンなのです。

ギブソン ES-335

もっともリッチー・ブラックモアも第2期ディープ・パープル初期、チャイルド・イン・タイム等でES-335は使っておりますがね…

ロッド・エヴァンスのボーカル

ロッド・エヴァンスのボーカルは非常に味わい深い渋みのある声です。ハードロックしか聞かない人からは本気で歌ってるのか? と思われかねない歌い方です。声を張り上げない歌い方なんですよね。

言って見ればロッド・エヴァンスはバラードシンガーなのです。

曲調

第1期ディープ・パープルがアートロックと呼ばれた要因の一つにバンドの主要メンバーであるキーボーディストとギタリストがクラシックミュージックの素養をた持ったミュージシャンだったこともあります。 

第1期ディープ・パープルは曲の端々にクラシックのフレーズ、クラシック曲へのオマージュ(と捉えるかパロディと捉えるかは人其々ですが…)を持ち込みました。

ただしライブでの即興演奏時にはジョン・ロードとリッチー・ブラックモアが延々と互いのソロをぶつけ合います。この辺は既に第2期以降のディープ・パープルの片鱗が見えております。

この様にプログレッシブロック寄りでありながら、クラシックミュージックの香りも漂う芸術的な音楽としてアートロックというジャンルが成立したのです。

クラシックミュージック

そしてデビューアルバムの発売へ…

若干駆け足の説明でしたがアートロックバンドとして第1期ディープ・パープルは記念すべきデビューアルバム『ハッシュ』を発売するのです。

次回はアルバム『ハッシュ』とシングル曲『ハッシュ』の功罪についてです。

つづく

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