Appleがリリースしている音楽制作ソフト、Logic Proとはプロフェッショナルな音楽制作環境を求めるクリエーターにとって革新的なツールです。
そのLogic Proのバージョンナンバーが11となり、2024年5月13日より『Logic Pro 11』として発売&バージョンアップすることとなりました。
なんと2013年7月のLogic Pro Xのリリース以来、約11年ぶり(!)のメジャー・バージョン・アップです。
そして有難いことに既存のLogic Proユーザーは、無料でLogic Pro 11にアップデートができるとのことです。
そんな新機能が豊富に搭載されたLogic Pro 11は、AIを駆使した作曲支援や高速なオーディオ分割といった、夢のような機能が使えるようになりました!
この記事では、Logic Pro 11がどのように音楽制作の現場を変えるのか、その魅力と機能を深掘りしていきたいと思います。
記事ポイント |
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⚫︎Logic Pro 11の主な新機能とその利用方法 |
⚫︎Logic Pro 11のシステム要件と対応デバイス |
⚫︎Logic Pro 11の価格設定と既存ユーザーのアップデート情報 |
⚫︎Logic Pro 11とiPad版Logic Pro 2の機能 |
目次
Logic Pro 11の新機能紹介
日進月歩の進化で、様々な場面に登場するAIですが音楽生成ソフトにも進出してきました。
そして遂にLogic ProでもAIを使用した機能が、それもかなり期待のできるAI機能が搭載されました。
Session Players
Logic Pro 11では、AI技術を駆使した新しい作曲支援ツールが導入されています。これらのツールは、ユーザーのクリエイティビティ(創造性)を最大限に引き出し、音楽制作の効率を飛躍的に向上させることを目的としています。
その中でもLogic Pro 11の最先端機能である「Session Players」は、ユーザーが作成した曲にリアルタイムで対応するバーチャルミュージシャンの集団を提供します。
この革新的な機能には、バーチャルドラマー、ベーシスト、キーボーディスト等を含んでおり、それぞれが曲の調子やテンポに合わせてダイナミックに演奏を行います。これらのバーチャルミュージシャンは、各楽器の演奏技術を忠実に再現しつつ、ユーザーの創造性を最大限に引き出すための支援を行います。
Logic Pro Xでの「Drummer」機能では、ドラムパターンの自動生成を可能にしていました。
今回、新機能として追加された「Bass Player」と「Keyboard Player」では、ベースとキーボードでもパターン生成することができるようになりました。
これらの機能は、世界各国の一流ミュージシャンとの緊密なコラボレーションによって開発され、実際の演奏技術を取り入れた高度なアルゴリズム(処理方法)が組み込まれています。
Bass Player
「Bass Player」は、8種類の異なるプレースタイルを提供し、ユーザーはそれらを自由に選択して自身のトラックに合わせることができます。
さらに、ベースラインに豊かな表現を加えるために、スライド、ミュート、デッドノート、ピックアップヒット(アタック感のことだろうか?)といった多様な演奏テクニックのパラメーターを細かく設定することが可能です。
これにより、ユーザーは自身の音楽に合わせた、リアルで感動的なベースパフォーマンスを創出できます。
Keyboard Player
一方、「Keyboard Player」は、4種類の演奏スタイルから選択可能で、シンプルなブロックコードから技巧的なコードボイシングまで、広範囲にわたるフレーズ生成を実現します。
この機能は、コードトラックの進行に応じて自動的に適切なフレーズを生成し、無限に近いバリエーションを提供することで、ユーザーの独自性と創造性を支えます。
また、生成されたフレーズは後からユーザーが自由に編集することが可能であり、細部に至るまで自分の音楽的意図に合わせてカスタマイズすることができます。
これらの進化した機能により、Logic Pro 11は音楽制作の新たな地平を開くものとなり、プロのミュージシャンだけでなく、音楽制作に情熱を注ぐすべてのユーザーにとって価値あるツールとなるでしょう。
さらに、これらのAIプレイヤーは高度な演奏技術と音楽理論を理解しているため、あらゆるジャンルの楽曲に対応可能です。
Stem Splitter機能
「Stem Splitter」は、先進的なAI技術を駆使して、ミックスされたオーディオトラックを詳細に分析し、ボーカル、ベース、ドラム、およびその他の音源という四つの独立したトラックに効率的に分割する機能を提供します。
この革新的な機能は、プロデューサーやエンジニアが既存のミックスから特定の要素を抽出し、新たなアレンジを施す作業を簡略化します。
具体的には、Stem Splitterを使用することで、完全にミックスされた曲(オーディオファイル)から、約30秒以内に個々の要素を分離できるそうです。
例えば、既存の曲(オーディオファイル)からドラムパートを取り除き、新しいリズムセクションを追加することで、曲の全体的な雰囲気を一新することが可能です。
また、ボーカルのみを抽出してリミックスに利用するなど、クリエイティブな再利用が容易になります。
この技術の背後には、Appleシリコンの強力な処理能力が支えとなっており、AIアルゴリズムによる高速処理が可能になっています。
その結果、高品質なオーディオ分割が迅速に行えるため、音楽制作の効率が大幅に向上します。加えて、このプロセスは非破壊的で音源が劣化しないそうなので、オリジナルのトラックを保持しつつ、異なるバージョンを試すことができます。
Logic Pro 11のStem Splitter機能は、音楽制作のフレキシビリティ(柔軟性)を大きく広げ、プロデューサーにとっての創造的な可能性を拡張するものです。
Logic Pro 11の進化した音質処理機能
ChromaGlowによるトラックの音色調整
『ChromaGlow』は、業務用スタジオでの複数の機器を組み合わせたサウンドをモデリングし、ユーザーが選べる5種類のサチュレーション・スタイル(AIとAppleシリコンをフル活用した機能)と使うことにより、トラックに温かみや存在感、活気などを加えるために設計された機能となっています。
これにより、モダンなクリーンなサウンドからノスタルジックなビンテージ感、さらには過激なスタイルまで、多岐にわたる音色の調整が可能です。
この技術の背後には、AIとAppleシリコンの強力な処理能力があり、これをフル活用することで、称賛されているスタジオ用ハードウェアのブレンドを模倣したサウンドを生成します。
ChromaGlowは、音楽制作のプロセスにおいて新たなクリエイティブな可能性を開くとともに、プロデューサーやエンジニアが目指す音楽的表現を具現化する手段を提供します。
実際のスタジオハードウェアを模倣したサウンドエフェクト
ChromaGlowに加え、Logic Pro 11では、実際のスタジオハードウェアを模倣した様々なサウンドエフェクトが提供されています。
これにより、ユーザーはよりリアルな音楽制作体験を得ることが可能になり、デジタル音楽制作の限界を押し広げます。
これらのエフェクトは、ヴィンテージ機器からインスピレーションを得たもので、音楽トラックに深みや暖かさを加えることができます。
これらの新機能と改良点は、Logic Pro 11を今まで以上にパワフルで柔軟な音楽制作ツールとして位置付けています。
以上の情報を基に、Logic Pro 11がどのようにあなたの音楽制作プロセスを変革するかをぜひ検討してみてください。
Logic Pro 11の価格とアップデート情報
既存ユーザー向けの無料アップデート詳細
Logic Pro 11の発売&アップデートは、2024年5月13日からとなっています。
既存のLogic Proユーザーには無料でアップデートされます。
これにより、多くのプロフェッショナルなユーザーが最新の機能にアクセスできるようになり、ソフトウェアの使い勝手が大幅に向上します。
既存ユーザーはMac App Storeを通じてアップデートを受け取ることができます。
新規ユーザーの購入
新規ユーザーのためのLogic Pro 11は、Mac App Storeで30,000円で販売されます。
これは、業界トップクラスの音楽制作ソフトウェアとしては非常にリーズナブルな価格設定であり、プロフェッショナルな機能が全て含まれています。
Logic Pro 11とMacの相乗効果
macOS Ventura 13.5の要件
Logic Pro 11を使用するには、macOS Ventura 13.5以降が必要です。
このOSは、最新のAppleシリコンの高性能を活用し、音楽制作プロセスをよりスムーズにするための最適化が施されています。
macOS Venturaは、特にLogic Pro 11の新機能であるAI支援ツールや高速Stem Splitterとの互換性を考慮して設計されており、これらの機能を利用することで、ユーザーは以前に比べて効率的かつ直感的に作業を行えるようになります。
もし旧OSを新しいOSにアップグレードするのであれば、互換性の問題が生じないように既存のプロジェクトやファイルのバックアップを事前に行うことが推奨されます。
Appleシリコンの利用
Logic Pro 11は、Appleシリコンをフルに活用しており、この新しいハードウェアプラットフォーム上で驚異的なパフォーマンスを実現しています。
Appleシリコンのプロセッサは、特に音楽制作用途において、高い処理能力とエネルギー効率を提供します。
これにより、より多くのトラックとエフェクトをリアルタイムで処理する能力が向上し、ユーザーは大規模なプロジェクトでも遅延やクラッシュの心配なく作業を進めることができます。
Logic Pro 11のiPad版:Logic Pro 2
iPad OS 17.4以降のサポート
Logic Pro 11のiPad版であるLogic Pro 2は、iPad OS 17.4以降をサポートしています。
これにより、iPadユーザーもプロフェッショナルな音楽制作機能をタッチスクリーンを通じて直感的に利用できるようになります。
iPad版では、ユーザーは外出先でも全機能を使用でき、プロジェクトをMacとiPad間でシームレスに移行させることが可能です。
ただし、最新のiPad OSにアップデートすることは、一部の旧型iPadでは対応できない場合があるため、事前の確認が必要です。
Logi Pro対応iPad機種
なおiPadにも対応できる様になったLogic Proですが、残念ながら一部のiPadでは使用できません。
Logic Pro対応モデルの iPad |
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⚫︎iPad Pro 11 インチ (第 1 世代) 以降 |
⚫︎iPad Pro 12.9 インチ (第 3 世代) 以降 |
⚫︎iPad Air (第 3 世代) 以降 |
⚫︎iPad (第 8 世代) 以降 |
⚫︎iPad mini (第 5 世代) 以降 |
iPadの機種(世代)の確認方法はiPadの『設定』→『一般』→『情報』→『機種名』で確認できます。
タッチ操作に最適化されたUI設計
Logic Pro 2は、iPadのタッチ操作に完全に最適化されたユーザーインターフェース(以下UI)を備えています。
このUIは、音楽制作の各プロセスを直感的に行えるようデザインされており、スライダーやボタンが大きく配置されているため、精密な調整もタッチだけで簡単に行えます。
この設計により、ユーザーはよりクリエイティブな作業に集中できるようになりますが、タッチスクリーンの反応性や精度が求められるため、iPadのモデルやスペックによっては操作感に差が出ることがあります。
総括
- Logic Pro 11はAIを活用した作曲支援ツールを搭載
- 新機能「Stem Splitter」でミックス済みオーディオを高速に分割
- 既存ユーザーは無料でLogic Pro 11にアップデート可能
- 新規ユーザーの購入価格はMac App Storeで30,000円
- macOS Ventura 13.5以降が必要
- MシリーズAppleシリコンを活用して高いパフォーマンスを実現
- iPad版Logic Pro 2はiPad OS 17.4以降をサポート
- iPad用Logic Pro 2はタッチ操作に最適化されたUIを提供
- 「ChromaGlow」機能でトラックに温かみや存在感を追加
- スタジオハードウェアを模倣したサウンドエフェクトで音質を向上
- 新しいサウンドエフェクトはヴィンテージ機器からインスピレーションを得ている
- Logic Pro 11はプロフェッショナルな音楽制作体験を提供する
まとめ
個人的には遂にAIがここまで来たか… と驚愕のLogic Pro 11へのアップデートでした。
既存曲からトラックを抜き出せたりとか、ピアノやベースも自作曲に合わせてフレーズどころかコード生成までしてくれるとは驚きです。
それでは13日以降に実際の使用レビューをしたいと思います。
おしまい