皆さん、ご機嫌よう! タカミックスです。
今回はランディ・ローズ夭折後に発売されたオジー・オズボーンの3枚目でありソロ後初のライブアルバムである1982年発売の『スピーク・オブ・ザ・デビル 悪魔の囁き』についてです。
目次
本来はランディ・ローズでのライブ版の予定だった
さて、今作の『スピーク・オブ・ザ・デビル 悪魔の囁き』ですが、本来ならランディ・ローズ自身が演奏するライブ盤を企画していたそうです。しかしランディ・ローズのライブ盤の音質が悪く、更にオジー・オズボーン自身がランディ・ローズの死を商売に繋げたくないとの思いから新ギタリストを見つけ、急遽ライブレコーディングされた作品だったのです。
まずバーニー・トーメー
ランディ・ローズ夭折後とは言え、オジーバンドはツアーを続けなくてはいけませんでした。ここでオジー… ではなくオジーのマネージャーであったシャロン・アーデン(後のシャロン・オズボーン)は『ギラン』でギタリストを務めていたバーニー・トーメーをピンチヒッターとして迎え入れます。
ギランとは?
ギランは言わずと知れたディープ・パープルのボーカリストであるイアン・ギランが結成したバンドのことです。
イアン・ギランは1973年のディープ・パープル脱退後にビジネスマンを目指すが失敗し、1975年に音楽業界に復帰しています。その際に結成したジャズロック系音楽活動でのバンド名が『イアン・ギラン・バンド』でした。
しかしイアン・ギラン・バンドは商業的に上手くいかず解散。そのイアン・ギラン・バンドのキーボーディストであったコリン・タウンズと新たに結成したのが『ギラン』となります。
バーニー・トーメーはランディ夭折後と言うこともあり非常にオジーバンドに居辛かったと語っております。これはオジー・オズボーンが嫌いだったと言う意味ではなく、観客がランディ・ローズを求めていたからだったそうです。
これは当たり前ですよね。客はランディ・ローズがいるオジーバンドの演奏を聴きに来ている訳ですからね。またバーニー・トーメーはオジーのツアー参加にあたり自分のホワイトのストラトキャスター以外はアンプやエフェクターも含め全てランディー・ローズの物を使用していたとのこと。しかも衣装までランディ・ローズの衣装を着ていたそうです。
タカミックスも某動画サイトにてバーニー・トーメー期のオジーのライブを聴きました。当たり前ですがバーニー・トーメーは急にランディ・ローズ時代の曲を覚えろと言われたので曲を覚えるので精一杯だった様です。しかし流石プロのギタリストなのでランディ・ローズ時代の曲も意外とそつなく弾いていました。当然ソロとかは個人の解釈で弾いているのですが…
そんなバーニー・トーメー期のオジーバンドのライブを運命に導かれる様に意外なギタリストが見ております。それが誰であろう後にオジー・オズボーンと最も長く活動したギタリスト、ザック・ワイルドでした。
バーニー・トーメーは7回のみのライブ演奏での契約であったため、オジー・オズボーンのマネージャーであったシャロン・アーデンは新ギタリストを探します。
新ギタリストはブラッド・ギルズ
オジーバンドの新ギタリストにはナイトレンジャーでブレイク寸前だったブラット・ギルズが抜擢されました。ブラッド・ギルズは朝にシャロン・アーデンから電話でオーディションに誘われ、その電話でオジー・オズボーン本人とも話したそうです。
オーディションはオジー・オズボーンが宿泊していたホテルの一室で行われました。ブラッド・ギルズはアンプも無しにオジー・オズボーン相手にギターを弾いたそうです。
そのオーディションでは『フライ・ハイ・アゲイン』を演奏し、ソロが終わった瞬間に新ギタリストに決定したそうです。なおブラッド・ギルズはオジーバンドに誘われたことを非常に光栄だと思っているみたいです。
そんなオジー・オズボーン側は新ギタリストはブラッド・ギルズで決まりと考えツアーへ出発しました。おそらくオジー・オズボーンはスピーク・オブ・ザ・デビル後のスタジオ版のアルバムもブラッド・ギルズを使うつもりだったのでしょう。オジー・オズボーンはブラッド・ギルズのことを非常に気に入ってたそうですから。
しかし肝心のブラッド・ギルズはツアー中にナイトレンジャーが気になりだし、同時にオジーバンドでのサイドマン扱いも不満だったそうです。なのでブラッド・ギルズ本人が直接オジー・オズボーンにバンドを脱退させてくれ、と告げたそうです。
後年ブラッド・ギルズはピンチヒッター契約だった的なことも言ってたりしますが、真実はどうなんですかね?
オジーの家内
ブラッド・ギルズはオーディションに誘われた時の電話で、相手は「マイ ネーム イズ シャロン、ワイフ イズ オジー・オズボーン」と名乗ったそうです。
どうでも良いんですが、シャロン・アーデンがオジー・オズボーンと結婚式を挙げたのは1982年の7月4日です。このブラッド・ギルスへの電話は1982年の3月頃です。となるとシャロンはオジーの正式な妻ではないんですよね、と身も蓋もないことにケチをつけるタカミックスでした。
ランディの追悼版ですが
このアルバム、ランディ・ローズの追悼版のはずが楽曲は全てブラック・サバスの曲です。何故に?
SPEAK OF THE DEVIL 悪魔の囁き(ドン・エイリーなし)
理由はキーボーディストであったドン・エイリーがレコーディング時にオジーバンドを脱退していたからです。ランディ・ローズ期の楽曲はそれなりにキーボードがフューチャーされているので納得と言えば納得です。
パート名 | メンバー名 |
ボーカル | オジー・オズボーン |
ギター | ブラッド・ギルズ |
ベース | ルディ・サーゾ |
ドラム | トミー・アルドリッジ |
ではブラット・ギルズ在籍時にもランディ・ローズ時代の曲をライブでプレイしていなかったか? と言われると実際はプレイしております。しかしそれはドン・エイリーがオジー・バンド在籍時の話なんですね。
そのブラッド・ギルズがランディ・ローズ在籍時の曲をプレイしていた映像作品が『スピーク・オブ・ザ・デビル 悪魔の標(しるし)』となります。
こちらは映像化作品であるランディ・ローズ期の楽曲がメインの『スピーク・オブ・ザ・デビル 悪魔の標(しるし)』(ドン・エイリーあり)
なお作品タイトルはCDもDVDも原題が『SPEAK OF THE DEVIL』となっています。邦題に限ってCDが『悪魔の囁き』DVDは『悪魔の標(しるし)』とタイトルで見分けがつく様になっています。
なので作品発売日との時系列が逆になってしまいますが、本来であればランディ・ローズ期の曲をプレイしていた『悪魔の標(しるし)』が先で『悪魔の囁き』の方が後になるのです。
ドン・エイリー脱退前のランディ・ローズ時代の楽曲が並んだライブが映像化したのは2009年になってからです。映像化されたのは悪かった音質でもクリアにミックスできる様になった技術の向上が理由なんですかね?
スピーク・オブ・ザ・デビル 悪魔の囁き
このアルバムはキーボードを使用しないブラック・サバス曲オンリーなのでサバスメンバーはオジー・オズボーンだけと言う、非常に珍しいラインナップでのサバスナンバーが聴けるのです。
そして… この時のオジー・オズボーン、妙にボーカルが良いんですよ!
しかも各パートの音質がシッカリと聴こえる。ベースなんて妙にブリブリと鳴っていてライブ版特有のライブ感あるれるミックスではないのだ。
う〜ん、何でだろ? と思う程でもなく、多少なりとも音楽を知ってる人なら理由が分かる話なのですが基本的にライブ版は100%ライブの音源を使用していないからです。
先に結論を言ってしまうとSPEAK OF THE DEVILの歓声以外はスタジオ録音と言われています。オジー・オズボーンのライブでは歌が相当酷かったらしく、実際に発売されたSPEAK OF THE DEVILでは殆どの曲をオジー・オズボーンがスタジオでレコーディングし直したそうです。
そしてトドメは『血塗れの安息日』です。SPEAK OF THE DEVILの10曲目に収録されている『血塗れの安息日』ですが、この曲はライブで一度も演奏されてません。
この曲はスタジオレコーディングの際にテスト的な意味で録音されたと言います。なので他曲と比べると、やけにリズム隊の輪郭が立っているミックスになっております。
しかし何故プロデューサーであるマックス・ノーマンはライブのセットリストなかった血塗れの安息日をアルバムに収録したんですかね?
実際のライブはどうだったのか?
では歌が酷かったと言われるバーニー・トーメー&ブラッド・ギルズ期のオジーのライブはどうだったのだろうか?
実は真のライブ音源が後年に(2013年頃)コンプリート版として発売されております。当然タカミックスも聴きました。
その真ライブ版、これが言うほど酷くないんですよ。
事実バーニー・トーメーが証言しておりますが、オジー・オズボーンはライブの日は一切酒&ドラッグはしなかったそうです。ただライブのない日のオジー・オズボーンは酷かったそうですが…
そんなオジー・オズボーンのボーカルをアルバム収録にあたってマックス・ノーマンは音の外れた場所や声がフラットした箇所を録り直すより、全部録音し直おそうと思ったんですかね?
このマックス・ノーマンも色々言われてるプロデューサーだからなぁ…
ブラッド・ギルズでのスピーク・オブ・ザ・デビル
ブラッドギルズが弾くスピーク・オブ・ザ・デビルですが、結構良いです。ブラッド・ギルズ以外でもルディ・サーゾ&トミー・アルドリッジのリズム隊のキレが良いんですよね。まぁ、スタジオ録音も大幅に加わっているので当たり前と言えば当たり前なのですが…
ブラッド・ギルズといえばフロイドローズユニットを使ったアーミング奏法の開拓者です。アーミングとは極論誰が使ってもそれなりの表現ができるテクニックです。しかし真のアーミング使いは、ここ一番と言う所で効果的なアーミングをかましてきます。表現力のあるギタリストは怒りや悲し物表現をアーミングで表すことができるのです。
フロイドローズユニット
またブラッド・ギルズと言えばクリケット奏法が有名ですね。これはアームバーを固定させ、フレーズを弾きながらでもアーミングができる奏法です。
ただクリケット奏法って見た目のインパクトに欠けるんですよね(個人的感想)。 ただビブラートと違い音を大きく揺らすことができます。
聴きたいけど…
残念ながらスピーク・オブ・ザ・デビルはAmazon MusicやApple Music等のサブスクリプションでの配信はされていません。
なので購入を検討しているならCDになってしまいます。
まとめ
実はオジー・オズボーンのお気に入りだったブラッド・ギルズ。然りげ無くブラッド・ギルズ後のギタリストであったジェイク・E・リーはオジーと険悪だったと言います。
もしスタジオアルバムでの新ギタリストがジェイク・E・リーではなくブラッド・ギルズだったら、どの様な演奏を聴かせてくれたのでしょうか?
そんなブラッド・ギルズのスピーク・オブ・ザ・デビル、機会があれば是非御一聴を!
おしまい